米栂とは?
その性質や用途について解説
米栂は「ベイツガ」や「ベイトガ」と呼ばれます。
関西では「ベイトガ」と呼ばれることが多いようです。
栂という木は日本では四国や、九州、屋久島に分布する常緑針葉樹です。
しかし、国産材は少ない状況にあります。
杉よりも耐久性(せん断力)があり、柱に使われることもあります。
硬さで言うと、米栂はどちらかと言うと柔らかい方です。杉よりは硬く、
ヒノキのような硬さです。光沢性があり、加工後は綺麗に仕上がります。
肌色や白に近い綺麗な色味が人気となり、日本の林業に影響を及ぼすほど、
昔は多く使われていれていました。
現在では、米栂が造作材として使用されることは減少傾向にありますが、
魅力的な木材である米栂について説明していきます。
Contents
1. 米栂はどこで育つのか
米栂は、別名で “Western hemlock”「ウェスタンヘムロック」という名前があります。
産地は、北米大陸アラスカ州南部から、米国の南西部までの太平洋岸南地域に分布しています。
日本にも栂という木があります。四国や、九州、屋久島に分布する常緑針葉樹です。
日本の杉やひのきも針葉樹に分類されます。
2. 米栂の性質と特徴
米栂は、その外観が白っぽい肌色をしており、非常に綺麗な色味を有しています。
触り心地に関しては、硬すぎず柔らかすぎず、程よい硬さを持っています。
杉と比較して硬度が高く、ヒノキと同程度の硬さを誇ります。
強度においても優れており、建築物の土台などに使用されることもあります。
比重については、杉が0.38であるのに対し、米栂は0.46となっており、
米栂はヒノキに似た強度を持っています。
しかし、耐久性に関しては、特に強いわけではなく、
物理的な負荷や化学的な影響に対する耐性はそれほど高くありません。
また、耐水性もあまり高くないため、屋外での使用に際しては、適切な塗料の塗布が必要となります。
米栂はその美しい外観と適度な硬さで多くの用途に適しているものの、
耐久性や耐水性には留意が必要です。
3. 米栂の用途
白色というのは、住宅の白い壁にとても馴染みやすく、
見た目が綺麗なことから住宅の内装材(造作材)としてよく使われていました。
最近では減少傾向にありますが、和室材としてよく使われていました。
例えば、敷居や鴨居、雑巾摺など、白く綺麗な米栂は日本の和室にぴったりの材料でした。
高度経済成長期には集合住宅が多く建設され、
当時低価格であった米栂は内装造作材としてたくさん利用されました。
現在では、窓やドアの枠材としてよく利用されています。
先ほど強度の話もしましたが、強度もそこそこあるため、柱などの建築材料にも使われます。
その他にも、巾木、雑巾摺、笠木、廻り縁など用途は様々です。
米栂は、住宅の屋内であれば比較的使いやすい木材です。
4. 米栂の価格 販売場所
米栂の価格は近年上昇傾向にあります。
価格高騰には様々な原因がありますが、ここでは3つ程挙げます。
1. コロナウイルスパンデミックによる経済の停滞が挙げられます。
パンデミックに伴う外出制限が実施され、これにより木材供給チェーンに滞りが生じました。
これにより、供給不足の問題に陥りました。
2. アメリカにおける超金利政策の影響
金利が下がったことにより、住宅需要が急増します。
住宅重要が増えるということは木材需要が増えるということです。
供給が需要に追い付かなくなり、その結果米栂などの木材輸入材の価格上昇に繋がりました。
3. アメリカでの山火事
山火事による森林面積の大幅な減少も、木材供給に大きな制約を課しました。
さらに、世界全体で森林減少の傾向が見られます。
コロナ渦での木材需要増加がこの問題を一層深刻化させ木材供給に大きな影響を与えました。
その結果、米栂の木材価格の高騰に繋がったと考えられます。
販売場所に関しては、米栂はあまりホームセンターなどでは見かけない木材です。
輸入材で量も限られているため、一般的に購入できる場所は多くはない状態にあります。
弊社では米栂を取り揃えているため、様々な寸法にも対応できるようになってます。
5. 米栂はシロアリに強いのか?
米栂は、通常、白アリ被害を受けにくい木材とは言えません。
白アリは、木材を攻撃する際に主に木材の湿度や木質の種類を考慮しますが、
米栂は一般的に白アリに対して特別な耐性を持っているとは言えません。
米栂は、一般的に湿度の高い環境で育ちます。
湿度が高いと白アリの活動が増加しやすくなります。
そのため、湿度管理が不十分な場所で米栂が使用される場合、白アリ被害のリスクが存在します。
木材を白アリから保護するためには、適切な防虫処理や木材の保護策が必要になります。
6. 米栂についてのまとめ
米栂は北米太平洋岸南地域に分布し、日本にも存在する常緑針葉樹で、
外観は白っぽく美しい色味を持ち、触り心地は程よい硬さが特徴です。
耐久性や耐水性には制限があり、適切な塗料が必要です。
米栂は住宅の内装材や造作材として使われ、昔は特に和室材としても利用されました。
現在では窓やドアの枠材、柱などに主に使用されています。
米栂の価格は昔に比べ上昇しています。
その要因として、コロナウイルスパンデミックによる供給不足、
住宅需要の増加、アメリカでの山火事、森林減少の問題が挙げられます。
また、米栂は一般的に白アリ被害を受けにくい木材とは言えないため
屋外で使用する場合は、湿度管理や防虫処理が必要です。
価格などの問題はありますが、米栂は美しい外観と適度な硬さを持つ木材であり
内装材として長くお使いいただける、持続可能性があり、多くの用途に適しています。